社会学評論スタイル 参考文献の書き方(非公式)

『社会学評論スタイルガイド』第3版の書き方を、原典の実例でまとめました。日英が混ざったリストも、貼るだけでこの書式に整います(入力は送信されません)。

この書式に整える オフライン用にファイルを保存

その前に:載せるのは「読んだ文献」ではなく「引用した文献」

書式より先に間違えやすいのが、何を載せるかです。規定はこの点を明確にしています。

本文中で言及もしくは引用した文献は,漏れのないようにすべてを文献リストに記載しなければならない.ぎゃくに,文献リストにあげられた文献は,かならず本文中に対応する文献注がなければならない.『社会学評論』への投稿論文は文字数制限があるので,いわゆる参考文献の記載はしない.

日本社会学会編集委員会『社会学評論スタイルガイド』第3版、p.28(4.1 文献リスト)

要するに、本文の文献注とリストが1対1で対応している必要があります。 読んだけれども本文で触れなかった文献は、載せません。

規定はこの点について、論文審査の経験上、文献注に対応する文献がリストになかったり、 文献注とリストで出版年がずれているケースが多いと、わざわざ注意を促しています。 書式より先に、ここを確認する価値があります。

このツールでは確認できない部分です。 本ツールが見るのは文献リストだけで、本文は読みません。したがって 「本文の文献注と対応しているか」「出版年がずれていないか」はご自身で確認する必要があります。 書式は機械で揃えられますが、対応関係は原稿を見ないと判定できません。

社会学評論スタイルの文献リスト:4つの要点

1. 和文と欧文を分けず、通して並べる

最も間違えやすいのがここです。規定はこう定めています。

和文の文献も欧文の文献も含めてすべての文献を,著者または編者(共著・共編書の場合は筆頭者)の姓のアルファベット順にリストアップする.

同上、p.28(4.1 文献リスト)

日本語文献を五十音順でまとめ、そのあとに欧文文献を置く、という形ではありません。 日本人の著者名も、ローマ字読みでアルファベットの位置を決めます (例:稲上=Inagami なので I の位置)。

2. 句読点は全角の「,」と「.」

『社会学評論』は横書きのため、読点は「、」ではなく全角カンマ「,」、 句点は「。」ではなく全角ピリオド「.」を使います。文献リストの各項目も この記号で区切り、末尾も「.」で閉じます。

3. 書名は『』、論文名は「」、欧文はイタリックと引用符

副題をつなぐ記号も言語で違います。和文は2倍ダッシュ「――」、欧文はコロンと半角スペース「: 」です。

4. 共著者はナカグロ、ただしカタカナの外国人名があれば全角スラッシュ

和文の共著者は「・」でつなぎます。ただしカタカナ書きの外国人名を含む場合は、 ナカグロに代えて全角スラッシュ「/」を使います (ガイド掲載の例:杉本良夫/ロス・マオア、p.33)。人名の中のナカグロと、 著者の区切りのナカグロが紛れないようにするためです。 欧文は3人以上ならカンマでつなぎ、最後だけ and でつなぎます。

文献の種類ごとの書き方

以下に挙げる文献の実例は、いずれも『社会学評論スタイルガイド』第3版に掲載されているものです (pp.29-34)。当サイトが作った例ではないので、原典と照合して確認できます。

本(単著)

稲上毅,1981,『労使関係の社会学』東京大学出版会.

Broadbent, Jeffrey, 1998, Environmental Politics in Japan: Networks of Power and Protest, New York: Cambridge University Press.

和文は「著者名,発行年,『書名』出版社名.」の順で、区切りはすべて全角カンマ、末尾は全角ピリオドです。 『』が書名の範囲を示すので、書名と出版社名のあいだに区切り記号は入りません。 欧文でこの『』の役割を果たすのがイタリックで、そのあとに「出版都市名: 出版社名」が続きます。 和文に出版地を書かないのは、この2つが同じ位置に来る要素だからです。

編書

高坂健次・厚東洋輔編,1998,『講座社会学 1 理論と方法』東京大学出版会.

Douglas, Jack ed., 1970, Understanding Everyday Life, Chicago: Aldine.

「編」は編者名のすぐ後ろ、最初の全角カンマより前に置きます。編集したことを示す語は、著者欄の一部だからです。 欧文の ed.(編者が1人)/eds.(複数)も同じ位置に入ります。 こちらのピリオドは略語であることを示す記号で、要素を区切るカンマとは役割が違うため、両方を書きます。 単著との違いはこの著者欄だけで、発行年から後ろの形は変わりません。

編書に収められた論文

舩橋晴俊,1998,「環境問題の未来と社会変動――社会の自己破壊性と自己組織性」舩橋晴俊・飯島伸子編『講座社会学 12 環境』東京大学出版会,191-224.

Mayer, Margit and Poland Roth, 1995, “New Social Movements and the Transformation to Post-Fordist Society,” Marcy Darnovsky, Barbara Epstein and Richard Flacks eds., Cultural Politics and Social Movements, Philadelphia: Temple University Press, 299-319.

この形は、書誌が入れ子になっています。前半が論文そのもの、後半がそれを収めた本です。 論文名は和文が「」、欧文が引用符。本の書名は和文が『』、欧文がイタリックで、対応の仕方は単著と同じです。 収録先の編者名は、その本を単独で挙げるときと同じ書き方をします。 末尾の数字は収録ページの範囲で、その直前に区切りのカンマが入ります。

雑誌論文

佐藤嘉倫,1998,「合理的選択理論批判の論理構造とその問題点」『社会学評論』49(2): 188-205.

Abbott, Andrew, 1995, “Things of Boundaries,” Social Research, 62(4): 857-82.

誌名のあとに「巻(号)」、コロン、掲載ページと続きます。巻と号は 49(2) の形で、和文・欧文とも同じです。 雑誌は誌名と巻号で特定できるため、単著と違って出版社名や出版地は書きません。 なお上の2例は、ページの書き方がそろっていません。和文が 188-205 と省略していないのに対し、 欧文は 857-82(857-882 のこと)で、終わりのページの重なるけたが落ちています。 これが規定なのか実例の書き方なのかを当サイトは確認できていないため、 ツールはページ番号のけたに手を加えません(省略も復元もしません)。 区切りのダッシュだけは半角ハイフンに揃えます。

ここに挙げたのは要点です。翻訳書は原典の書誌の後に訳書を括弧で併記する、ウェブ文書には取得日を書く、 同一著者の2件目以降を4倍ダッシュ「――――」で省略する、など、ほかにも細かい取り決めがあります (このツールはこの3つにも対応しています)。投稿前には 日本社会学会が公開している スタイルガイド本体で必ずご確認ください。

手でやると時間がかかるのは、この部分です

規則そのものは難しくありません。負担になるのは同じ作業を文献の数だけ繰り返すことです。 読点を全角カンマに置き換え、書名を『』で囲み、欧文の書名だけイタリックにし、末尾を「.」で閉じる。 これを50件、100件と続けると、どこかで取りこぼします。

ツールは、この繰り返しの部分を引き受けます。 日本語と英語が混ざったままのリストでも、文献ごとに言語を自動で判定して、 それぞれの書式に整えます。日本語だけ・英語だけを別々に処理する必要はありません。

いちばん手間のかかる並べ替え(和文・欧文を通した姓のアルファベット順)も引き受けます。 漢字の姓の読みは内蔵の辞書で補うので、辞書にある姓なら読みを入れなくても規定の順に並び、 同一著者の2件目以降が「――――」になります。辞書に無い姓だけ、読みを入れてもらいます。 読みが分かれる姓(河野=こうの/かわの)は、どの読みで並べたかを画面に出し、押すだけで別の読みに替えられます。

この書式に整える

整形の実例(入力と出力)

書式がそろっていない手元のリストを貼り付けると、規定の形に揃います。

※ここでの「入力」は、上に挙げたガイド掲載の実例(稲上・Broadbent、pp.33・29)を、 あえて書式を崩した形にして使用しています。出力が原典の実例と一致することを 確かめられるようにするためです。

入力(手元のリストを貼り付け)

稲上毅, 1981, 『労使関係の社会学』東京大学出版会.

Broadbent, Jeffrey, 1998, Environmental Politics in Japan: Networks of Power and Protest, New York: Cambridge University Press.

↓

出力(社会学評論スタイル第3版)

稲上毅,1981,『労使関係の社会学』東京大学出版会.

Broadbent, Jeffrey, 1998, Environmental Politics in Japan: Networks of Power and Protest, New York: Cambridge University Press.

変わったところ:日本語の句読点が全角(,.)に揃い、英語の書名にイタリックが付きました。 入力に無い情報(副題・出版地など)を補うことはしません。

整えた結果は、イタリック(斜体)を保ったまま Word に貼り付けられます。 書式を貼り直す手間がかかりません。

対応している文献の種類

2つの入力方法

1. BibTeX を貼り付ける(おすすめの方法)

Zotero や Mendeley から書き出した BibTeX をそのまま読めます。著者・書名・出版社などが 項目ごとに分かれているため、貼り付けより読み違えが起きにくい方法です (元のデータの誤りや欠けは、そのまま結果に出ます)。 文献管理ソフトをお使いなら、この方法をおすすめします。

2. 文献リストを直接貼り付ける(1行に1件)

文献管理ソフトを使っていなくても使えます。読める書き方は次のとおりです。 ほかの様式で書いたリストを、社会学評論スタイルに書き直すのにも使えます。

行頭の番号(「1.」「(2)」など)は自動で取り除きます。 これらから大きく離れた書き方は読み取れないことがあり、その場合は 推測で変換せず、何行目が読めなかったかを表示します。 勝手に別の文献に化けてしまうより、読めないと伝えるほうが安全だと考えているためです。

Zotero・Mendeley をお使いの方へ

Zotero や Mendeley で社会学評論スタイルを出力すると、多くの場合 日本語文献と英語文献で書式がそろわず、1件ずつ手で直す作業が残ります。 このツールは、書き出した BibTeX を読んで、日英が混ざった1本のリストの書式を まとめて規定どおりに揃えます。

並び順も規定の順に整えます(漢字の姓は内蔵の辞書で読み、辞書に無い姓だけ読みの入力が必要です)。 ウェブページ(@online、URL のある @misc)も読めます。取得日(urldate)が無いものは要確認として知らせます。

Juris-M という選択肢もあります。 Zotero から派生した無料ソフト Juris-M と、 その拡張仕様(CSL-M)を使うと、日英が混ざったリストを言語別の書式で出力できます。 社会学評論スタイルも最初から入っています。 ただし導入と設定に手数がかかるうえ(言語の登録・著者名のローマ字読みを1件ずつ入力するなど)、 Juris-M は2023年以降更新が止まっており、Zotero 7 以降では使えません (Zotero 6 相当の別アプリとして動きます)。そこまでは手を広げたくない、という方に本ツールは向いています。

このツールについて

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